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Aoyama Gakuin University
Online Talk#22:"Write for the Ear: Toward the Pseudo-Landscape Theory"
Sat, May 11
|Online
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May 11, 2024, 10:00 AM – 11:00 AM
Online
About the event
Speaker: NODA Kenichi (Professor Emeritus, American literature, Rikkyo University)
野田研一(立教大学名誉教授)
文学作品における風景表象は、自然環境を作家や作品がいかに認識し記述しているかを考える際の重要な手がかりのひとつである。とりわけ文学の近代にとって、風景記述は決定的な役割を担ってきた。風景を描くことは近代文学の近代性を指標すると言っても過言ではない。その問題を「言語風景論」という概念を通じて考えてきたが、その場合、欠くことのできない要素が遠近法の問題である。〈風景〉という概念そのものが本質的に遠近法を前提としていることを改めて考察しない限り、「言語風景」を読み解くことはできない。 いっぽう、近代文学は〈風景〉という概念を解体する脱風景論、反風景論をもとりわけ20世紀以降展開してきた。それはいうまでもなく遠近法解体の試みでもある。この遠近法解体の試みを考えるために、本発表では、石牟礼道子『苦海浄土』と大岡昇平『野火』、それぞれの風景を対象として検討したい。副題で示しているように、この2作品の風景の本質は「(擬似)風景」なのではないか。すなわち近代文学の風景を基本的に規定している〈風景〉という概念を解体する試みとして位置づけられるのではないか。こうした問いを提起する予定である。
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