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Aoyama Gakuin University
Time & Location
May 15, 2021, 10:00 AM – 11:00 AM
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About the event
報告者:鳥越けい子(青山学院大学総合文化政策学部・教授)
地球に棲息するあらゆる生物は、自然に生かされ、自然と共に生きている。生物のなかでも特殊な能力をもっているヒトにとっても、この基本は変わらないが、ヒトの場合の「自然との関係の取り結びかた」は、他の生物に比べて実に多様かつ複雑なものになっている。
「音楽」を手掛かりに、環境と私たちとの関係を確認・考察する際に役立つのが、R.マリー・シェーファーが1960年代末に提唱した「サウンドスケープ」というコンセプトである。彼は「今日すべての音は音楽の包括的な領域内にあって、とぎれのない可能性の場を提供している。新しいオーケストラ、鳴り響く森羅万象に耳を開け!」と述べ、現代人の美的な耳を、宇宙も含めた環境全体へと解放しようとした。その背景には、当時の北アメリカにおけるエコロジー運動があった。同時にまた、音楽の意味をその本質から問うシェーファーの哲学的な思考があった。
本報告では、シェーファーの著作や活動を紹介しながら、彼が提唱したサウンドスケープという考え方、それに基づく新たな研究やデザイン論を解説する。あわせて、私たちの文化活動に内在する「境界」と、日々の暮らしに潜む「皮膜」について考察したい。
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