Online Talk#13 “Devouring Fudo”

Saturday, 16 July 2022, 10-11 AM JST

Speaker: OHKOJIMA Maki (Artist)


私はアーティストとしてこれまで様々な場所に赴き、それぞれの土地に滞在し、制作を行ってきました。その際、私が大事にしているひとつのイメージがあります。それは「風土を喰らう」というものです。

「風土を喰らう」とは、その土地で採れた野菜を食べること、肉を食べることにとどまりません。その土地で育ったものを食べるということは、その土地の土を食べることでもあり、その肉が育った森を、引いては森を包み込む大気や空を食べることでもあります。あるいは、風土を喰らう、ということの意味は物理的な「食べる」ということばかりを意味するものでもありません。その土地で生きている人とのコミュニケーションや、あるいはその土地が育んだ文化や習俗などに触れることも含めて「喰らう」ということなのだと私は考えています。文化と自然を超えて「風土を喰らう」という視点を持つことは、ある土地と関わり、ある土地を学び、またある土地の一部となっていく上で、とても意義深いことのように感じています。

もちろん、私は風土をただ喰らうばかりではありません。私もまたそこで喰らった風土を咀嚼し、消化し、分解し、また違う形で排泄、表現していくのです。風土を喰らい、そして、風土に喰らわれること。私を喰らうことで風土にもまたなんらかの影響があるかもしれません。風土はある形に固定されたものではなく、常に移ろいながら、変化し続けるものでもあるのです。私たちは誰もがそうした風土をめぐる循環構造の中に生きているのであり、私にとって「制作」とは、そのプロセスへと身を投じ、そのプロセスの一部として、自らを風土として生成することでもあります。

本トークでは、私が過去に行った滞在制作の模様、「風土を喰らい」かつ「風土になる」実践のいくつかを紹介したいと思います。

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人類学、経済学、歴史学、文学研究などの見地から、環境をめぐる多様な議論が展開されています。本フォーラム2023年1月のオンライントークでお話いただく藤原辰史准教授(京都大学)の「「たかり」の思想」や本学 結城正美教授の「正常の終焉、思考の再調整」も掲載されています。

詩人・作家・思想家の森崎和江さん(1927-2022)は、ポストコロニアリズム、フェミニズム、エコクリティシズムが流通する前から、こうした一連の批評が問題化している事象に向き合い、独自の思想と文学空間を生み出しました。佐藤教授の酒井隆史氏との討議「接触と連帯の思想」は、森崎さんの仕事の全貌に迫るものです。結城教授の「千年先を見据えた〈産〉の思想」は、森崎さんの「人間以上(モア・ザン・ヒューマン)」