Online Book Discussion: Klara and The Sun by Kazuo Ishiguro

19 August 2021, 10-11AM JST

 中川僚子教授(聖心女子大学)と麻生えりか教授(青山学院大学)をコメンテーターにお迎えし、カズオ・イシグロ著『クララとお日さま』の読書会を行いました。

 中川先生には、廃棄、祈り、牡牛の描写の分析から、今日的な問題を提示する作品として論じていただきました。そして麻生先生には、ほかのイシグロ作品との比較を通して、風景描写について議論していただきました。

 全体のディスカッションでは、自然/人間、自然/人工物といった二項対立を包み込むような作品の特徴が文学やサウンドスケープの観点から指摘されたり、AIであるクララの一生を通して描かれる人間社会や内面性についても活発に議論がされました。


 

・中川僚子教授(聖心女子大学)

・イシグロは、本作では「AIロボット」とともに「環境汚染」というテーマを取り上げているが、そこには何がメッセージとして仮託されているのか、またそれは果たしてメッセージと呼んでよいものなのか。

・本作が時間をおいて再読、再再読されたときに、読者の読みがどう更新されうるようにイシグロは考えていたのか。

麻生えりか教授(青山学院大学)

・風景描写を中心に、イシグロの他のテクストからも適宜引用しながら『クララとお日さま』の特徴を考察

・生命のサイクル(老い)の描き方や、イシグロが小説を書く時にもっとも重要視する感情と環境をどう結びつけるのか、といった課題について

Recent Posts

See All

Saturday, 16 April 2022 10-11AM JST Speaker: NISHIMOTO Azusa (Professor, African-American literature, AGU) ポスト公民権運動時代のアフリカ系アメリカ文学を半世紀にわたって牽引し一昨年夏に88歳で没したToni Morrison (1931-2019) は、「[合衆国では]活字にされた黒人文学の

本フォーラムでもお話いただいた奥野克巳氏(立教大学)、人類学者の近藤祉秋氏(神戸大学)、本学の結城正美氏が、マルチスピーシーズ人類学と文学、more than humanとbeyond human、人新世の問題としての核廃棄物、環境人文学など、さまざまなトピックについて議論を交わしています。人類学と文学の対話としても興味深い鼎談です。

Saturday, 29 Jan. 2022 10-11 AM JST 報告者: 松井 優子 (青山学院大学文学部・教授) 2021年に生誕250周年を迎えたロマン派詩人にして歴史小説家Walter Scott(1771-1832)の活動は、進展する産業化や都市化との交渉のなかで展開された。彼はスコットランドのボーダーズ地方の口承の伝統を記録するバラッド編纂者としてメジャー・デビューする。その後、