Saturday, 15 October 2022, 10-11AM JST
Speaker: YUKI, Masami (Professor, literature and environment, AGU)
結城正美(英米文学科教授)
環境問題は物理的環境に現出するが、問題の根っこにあるのは人間のものの考え方や価値観にほかならない。環境をめぐる価値や意味に関する研究は人文学諸分野の強みである。これまで蓄積された知を再調整しながら人文学諸分野が協働する動きが醸成され、1990年代後半にオーストラリアで生態学的人文学(ecological humanities)という学際的共同研究が創発し、北欧や北米でも同様の動きが展開し、そうした一連の動きが2001年に環境人文学とよばれるようになった。そのような経緯や環境人文学の抱える課題などを、拙稿「正常の終焉、思考の再調整――環境人文学への誘い」(『思想』2022年11月号掲載予定)にまとめたので、本報告では、その内容をかいつまんでお話しする予定である。また、拙稿では十分に論じられなかった、危機とともに生きつづけるための知のプラットフォームとしての環境人文学について私見を述べてみたいとも思っている。以上をたたき台として、みなさんと議論を交わしたい。AGU環境人文学フォーラムが立ち上がって一年半が経った現在、何が変わったのか/変わらないのか、といったことについても意見交換できればと思う。
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